その男


「今度芽以ちゃん連れていってあげましょうか?好きでしょそういうの」

「ダメダメ陽子さん、わたしの趣味分かってないな〜。それよりわたし今BLのケータイ小説書いてるんですけど、それがすごい人気で、コミック化の話がきてるんです」

 ウッソ〜〜ッ。

 陽子と美穂は女子高生のようなはしゃぎ声を上げ、周りに睨まれる。

「すごい、すごい、芽以ちゃんが一番すごいじゃない」

 美穂は興奮し顔に当てた美顔ローラーを高速で転がす。

 三人は顔を見合わせにっこりする。

「恋と男もいいけど」

 美穂が言う。

「今の方が楽しくない?」

 陽子の声にくすぐったいような笑い声が混じる。

「うんうん、楽しい」

 芽以は両手でピースを作った。



< 48 / 51 >

この作品をシェア

pagetop