「愛さえあればお金なんて」
同意することも、
励ますことも、できなくてさ。
「あたし、外で働くのはイヤなんだ。
あっ、別に病気とかじゃないわよ?
ただ、家でゆっくりするのが好きだから」
ただただ、無言で「うんうん」と頷くだけにとどめておいたよ。
それから一週間ぐらいして。
旦那が会社にいっている、真昼間。
お隣に、スーツを着た若い男が入って行ったのさ。
ものすごく親しげで。
奥さんの目はキラキラ輝いていたんだよ。
……なにか、変な商売を自宅で始めたのかい?