王太子様の策略に、まんまと嵌められまして~一夜の過ち、一生の縁~
「……はっ」
唐突に、意識が戻る。
大きく見開いた目を何回かぱちくりさせて、辺りを見回した。
見慣れない天井。
豪華な絵が描かれている。
部屋はさほど広くはない。
家具も最低限のものしか置かれていなかった。
社交場では、ダンスフロアと食事を摂るための部屋、そして休憩のできる部屋がいくつか用意されている。
きっとここは休憩部屋なのだろう。
使ったことがないから推測でしか言えないが、部屋の広さからいって間違いないと思う。
ふいに、ぶるりと無意識に身体が震えた。
寒いと感じたのは、着ていたはずのドレスが自身の身体になかったことと、自分のものではない息遣いを私の横で聞き取ったからだった。
嫌な予感がして、恐る恐る横を向く。
そこには、先ほどまで共にお酒を酌み交わしていた王太子様の姿があった。
「……ひ!」
声にならない声を出し、後ずさる。
王太子様は少し寝言のような声を出しながらも、依然気持ちよさそうに眠っていた。
美しい寝顔……、なんて呑気に思っている場合じゃない!
一体どういうことなの!?
ここはどこ!?
なんで私、裸で王太子様の隣に寝ているの!!