白い羽、黒い羽
●くろ1






僕は記憶をなくしてしまった。



何度も何度も、自分の記憶の糸を手繰り寄せようとした。


しかし、手繰り寄せようにも、その糸さえ見当たらない。



…僕は誰だ?



頭がズキズキと痛む…。


何かとても懐かしい夢を見ていた気がする。



目が覚めたときには、僕はこのベッドに横になっていた。


体を半身起こして、ベッドの隣の机の上に置いてある、鏡を覗き込み、自分の顔を見てみた。


頭には包帯が巻かれていて、顔のいたる所にバンソウコウが貼ってあった。


黒いボサボサの髪、ひどくやつれた顔、目の下には隈…。


これが…僕?



一体、ここはどこなんだ?


部屋を見渡した。

自分のを含めて、ベッドは2つある。


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