好きって言ってほしいのは、嘘つきな君だった。
「今日からバイトで入った加賀(カガ)くんだ。今日は舞ちゃんと同じ17時上がりまでいてもらうから、いろいろ教えてやって」
「分かりました」
店長の言葉に頷けば、「よろしく」と店長は仕事に戻って行く。
「…とりあえず、ホールに行きましょうか」
「あ、はい」
いつまでも厨房にいるのもあれなので、ホールへと出る。
午前はホールスタッフはパートのおばさま方が多いため、とりあえずオーダーの取り方だけを教えることにした。
「とりあえず、こんな感じでやってください。大丈夫そうですか?」
「あ、うん。大丈夫です」
私の語彙力の少ない説明でも、加賀さんは理解してくれたらしく優しく笑ってくれる。
爽やかだ。
誰かさんとは大違いな、大人の雰囲気。