この恋の行き先は
彼と彼女の気持ち
「初、待って!話をしよう。」

我にかえったオレは、相談者を置き去りにして慌てて初を追いかける。

止まらない初の腕を後ろから掴む。

それでも振り向かない初。

『…離して。私は話しあいたくて散々電話したわよね?それに答えなかったのは誰よ?他の人に相談なんかしないで、私に話すべきだったんじゃないの?!今さら遅いのよ!』

こんな怒声を初めて聞いた。

初は元々穏やかな子だから。

こんなになるまでオレ…何やってたんだ!

本当情けねぇ。

「初…。」

続きの言葉がでなくて。

『世夏、最後に言っておきたいことがあるの。あなたの電話に勝手にでて、引き裂こうとする女の人なんか、友達じゃないわよ。相談する相手、間違えてるわ。まぁ、あんなに楽しそうだったから、お似合いかもね。』

はっ?!

電話?!

「初っ!なんだそれっ?!」

オレの頭の中はパンク寸前だ。

アイツが勝手に電話にでた?!

思わず力が抜けて、初の腕を離してしまう。

ゆっくり振りかえる彼女の目は、かなり冷めた瞳だ。

『さよなら。』

一言そう言い離れていく彼女。

呆然と立ちすくむバカなオレ。


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