好きだと伝えたくて。
「コクるのか?」


「は?」


「湊、柳瀬のことが好きなんだろ?」


「っ!」



誰にも明かしたことのない想いを律が知っていたことに、戸惑いを隠せない。



「知らないとでも思ってたのか?」


「……」


「湊、分かりやすすぎなんだよ」


「……マジで?」


「ん、マジで」



小さく息を吐いたあと、腹を括る。



「これから、コクってくる」


「そっか」


「ん。もう後悔したくねーし」


「もう?」


「ん」



首を傾げる律に、俺はふっと笑う。


七年前の文化祭で、本当はコクろうと思っていた。


でも結局勇気を出せなくてコクらず仕舞い。
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