好きだと伝えたくて。
外からの喧騒が窓越しに響いてきて、後夜祭が始まったことを知らせてくれる。


そんな音を耳に入れながら、俺はたどり着いた教室のドアを開けた。


そこには窓から外を眺めている彼女の姿があって。


まだ天使の衣装を纏っているからか、本物の天使がいるんじゃねーかと思ってしまった。



「柳瀬」



俺の声にびくんっと身体を揺らした柳瀬はそのままゆっくりと振り返る。



「黒木、くん?」



元々大きな瞳をさらに見開きながら俺で視線を止める。



「ここにいたんだ?」


「……」



すぐに俯いて黙り込んでしまった柳瀬の方へ、俺はゆっくりと足を進めていく。
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