ホットジェル
あれから宮下さんの家には行ってない。なし崩しに夜を明かした。
私がホットジェルを塗っても満たされなかった熱は人肌だったのかと思うと少しだけ恥ずかしかった。
満たされたのに名前のない関係っていう事実が胸を軋ませた。
そういえば、宮下さんの下の名前はなんだろうとか、好きなものはなんだろうとか。
今更になって色々出てくる。
インターホンを押した。彼は驚いた顔で迎えた。
「やらしい顔が台無しですよ、宮下さん」
彼は小さく笑った。
「たしかに」
「宮下さん、初めましてからやり直さない?」
そう言ったら笑顔で賛成と言った。
fin
