イジワル男子の甘い声
ガチャ
へっ。開いてる。
入ってって、いいってことだよね?
「お、お邪魔しまーす」
そう言いながら玄関に足を踏み入れても、柏場の姿は見当たらない。
とりあえず、いつものリビングに向かって、ソファに腰を下ろす。
この家に確かに柏場はいるんだから待っていおう。っていうか、なんでテスト終わったばっかりに休んじゃうかな。
お昼休みに張り出されていた成績表には、やっぱり学年1位のところに、安定して柏場の名前があったし。
学年1位の成績にあまり関心がないから、こんな日に休んだりできちゃうんだ。
嫌味な人だよまったく。
ガチャ
入るなと前に念を押された部屋の一つから、柏場くんが出てくるのが見えた。
「柏場くん!」
目の前に、柏場優作が現れると、私は飛び跳ねるようにソファから立ち上がって彼の名前を呼ぶ。