イジワル男子の甘い声








ピンポーン


用事だっていってたからいるかわかんないけれど。


猛ダッシュで学校から出て、彼の家のインターホンを押した。


「……」


出ない。


やっぱりいないのかな。


一番伝えたかったのに。


たくさん見てもらってたくさん迷惑をかけた。柏場のやってくれたことがちゃんと報われた、そういち早く伝えたかったのに。



肩を落として、隣の自分のうちへ戻ろうと踵をあげた瞬間。



「入って」


そんな声が、インターホンから聞こえた。


『入って』
それは、うちに入ってもいいということなんだろうか。


ブチッとすぐに切れたインターホンにもう一度質問することはできなくて、私はゆっくりドアノブに手をかける。


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