イジワル男子の甘い声
[双葉 side]


柏場遅いなぁ。

家主のいない家なんて落ち着かない。


まだ帰ってこないかと、座ってたソファから立ち上がり、玄関へと続くまっすぐな廊下をチラッと覗く。


シーーーーーン。


いないか。


そう思って、またソファに座り直そうとした瞬間。


ん?


廊下の横に並ぶ1つのドアの下の隙間から、何か紙のようなものがチラッ覗いている。


何あれ…。



確か、あの部屋は柏場が入るな、と私に念を押していた部屋。


『すっげぇやらしいものがある』


柏場はその部屋のことをそう言ってたっけ。


紙の端だけ隙間からチラッと見えてるそれがすごく気になる。


私の足は、ゆっくりと玄関へ続く廊下へ向かっていた。


大丈夫。


それを拾って、部屋に戻すだけだ。


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