イジワル男子の甘い声
「お前が愛してやまないsakuは、お前が嫌いな俺だよ」
っ!!
まっすぐこちらを見るそのこげ茶の瞳には、私が映っているのがわかるくらい。
距離が近い。
お互いの吐息だってもう少しでかかりそう。
だけど、そんなものも関係なく、必死に。
「っ、違うっ!」
多分、今まで柏場に見せてきた顔で一番ブサイクだ。それくらい酷い顔で訴える。
「どんな妄想を勝手に膨らませているのか知らないけど、俺はただ金稼ぎのためにsaku名義で歌を歌ってる」
「……」
柏場の手が頬を離れた瞬間に、崩れるように全身の力が抜ける。
信じたくないことを、聴きたくないことを、次から次へと淡々と話す彼がすごくムカついた。