イジワル男子の甘い声
*
「……葉、双葉…」
ん?
久しぶりに聞く、大好きな声が私の名前を呼んでいる。
「っ、ん」
どれくらいの時間そうしていたんだろう。
ゆっくり目を開けると、あまりの眩しさに思わず閉じてしまった。
「双葉、起きなさい」
っ?!
その声で、私の目はパチっと開かれる。
「…パ…パパ?」
重たい瞼と、カピカピになった頬。最悪な状況でベッドから起き上がる。
「どうした…ひどい顔だぞ」
「ううん。なんか、怖い夢見てたみたい」
だんだん目が部屋の明るさに慣れてきて、目の前にいるパパがくっきりと見えるようになった。
緩めたネクタイに、すごく疲れた顔。
この短い間に、一気に3歳くらい老けたと思う。