イジワル男子の甘い声
「テスト、よくやったな」
「あ、うん…」
そうだった。
確か、柏場が戻ってくるまでの間に、今日返されたテストを全部写真に撮ってパパに送ったんだっけ。
「双葉はやってくれるってパパ信じてたぞ。偉いな」
パパはそう言って、私の頭をくしゃくしゃっと撫でる。
いつぶりだろう。
パパにこんな風に撫でてもらうのは。
「約束通り、双葉の大切なものはちゃんとそのままにしておくから安心しなさい」
「……っ、」
あ、そうだった。
勉強をあんなに必死に頑張っていたのはsakuを守るためで…そのsakuは…。
いや。
多分、あれは私の夢だったかもしれない。
そうだ。テストの疲れで、悪い夢でも…。
「実物を見るのはまた今度にするよ。パパ、また今日から出張になるからよろしくな」
「えっ、ちょっ」
私の伸ばした手をスルリとすり抜けて、パパは
「そういえば、玄関の前にカバン置きっ放しだったぞ」
と机の上に置かれた私のスクールバックに目線を移してから、私の部屋を後にした。