イジワル男子の甘い声


「二日酔いを連呼すんな。自分の意思で飲んだんじゃねー」


「あ、ごめん…」


悪い大人、にそうさせられたんだよね。
芸能界、怖いな。
柏場にそんなことして、彼らにどんな液があるっていうんだ。


あれ…。


後ろに立っていたはずの柏場はいなくなったて、パッとカウンターキッチンから前の方に目線を向けると、ダイニングテーブルの方にもう座っていた。


まるで「食べてやってもいい」と言ってるようだ。


「今日学校だけど、柏場くん行ける?」


家からタッパーに入れて持ってきたご飯を装いながらそう聞く。


この家、炊飯器だって置いていないから。


「行くけど」


「そっか、よかった」


学校に行けるくらいは体調まだマシだってことだよね。


味噌汁とご飯と卵焼き。それから梅干し。


質素すぎて申し訳ないけど、突然のことだったから仕方ない。


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