イジワル男子の甘い声
「昨日、柏場くん飲みすぎて動けなくなっちゃって、ノアが家まで運んでくれたんだよ。私もちょっと手伝ってたら、朝まで監視するという仕事を与えられて…」
「あの野郎…。変なことしなかった。俺」
「えっ、」
柏場の口からまさかそんな言葉が出てくるとは思わなくて、思わず顔をブンブンと横に振る。
「まぁ、するわけないか。お前だし」
「は、はい?」
抱きしめられたこと、ミズキって人の名前を呟いたこと、変なことだらけだった。
だけど、恥ずかしくて言えるわけないじゃないか。ミズキさんのことだって、聞いちゃいけない気がするし。
「何やってんの」
切ったばかりの厚焼き玉子を見つめる柏場。
「あぁ、朝ごはん。玉子は二日酔いにいいんだって。しじみの味噌汁は無理だったけど、ほら、梅干し!こっちも二日酔いにいいらしい!」