イジワル男子の甘い声


「うわっ、噂をすれば」


なんてミカの小さい声は、私にももちろんぶつかってきたその人にも聞こえていない。


「ぎゃっ!柏場くん!」


私の頭2個分は上にある顔を見るために顔を上げると、さっきまでずっとボールを追いかけていたはずなのに涼しそうな彼がこちらを不思議そうに見ていた。



「道のど真ん中で立ち止まるな、邪魔」


「じゃ、邪魔って、さっきまで誰もいなかったし!何?!柏場くんサボり?!男子はサッカーでしょ?!」


「サボりって…こっちのセリフ。水飲みにきただけ」


「水道なら外にもあるでしょう」


ミカがボソッとそう言った。


「他の奴らが占領してんの。静かに1人で休憩したいから」


うわぁぁ出たよ。


そうだったそうだった、学校の柏場はそうだった。思い出したよミカ。


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