イジワル男子の甘い声
「っていうか────」
っ?!
「ひっえっ?!」
柏場は、突然一歩距離を縮めると、私の前髪の方に手を伸ばして、そのままバッと前髪をあげた。
視界がいつもよりスッキリして、柏場の顔がよく見える。
なにこれ…。
「ちょ、な、なにすんの!」
あまりの急な出来事にプチパニックで、身体中が熱くなる。
私は、すぐに柏場の手をどけてから前髪を整える。
「熱あんの、お前」
「っ、いや、ううん!違う!ない!」
さっき、ミカが変なことを言ったからだろうか。柏場が近づくと、少し緊張する。
「だけどそれ…」
「双葉ったら、顔面レシーブしたの。ぼーっとしてて。言っとくけど、それはあんたの────」
「ああああ!ミカ!早く行こう!また怒られる!」
「んっ、」
私は、慌ててミカの口を塞いで、彼女を捕まえて歩き出す。
「さらば!柏場くん!」
「はっ、ちょ、」
私とミカは、突っ立ってる柏場をおいて、その場を後にした。