イジワル男子の甘い声


「まず、優作のご両親の話をするね。母親は優作が5歳の頃に出て行って、その8年後、父親は別の人と再婚したんだ」


「っ、はい」


性格にクセがあるんだからさぞかし複雑な家庭環境なんだろ、なんて思っていたけど、実際にこうやって現実で話されると、違う。


柏場があんな風に世界に威嚇するように毎日過ごしているのは、何かトラウマになることが…。


「再婚してやってきた新しい母親の名前はカオリさん。周りからは若くて綺麗で料理が上手くてステキな人だっていい評判だったらしい。けど…」


けど、
ノアのその言葉だけでなんだかゾワっと寒気がした。


「カオリさんは、突然消えた。なんの前触れもなく突然、莫大な借金を柏場家に残して」


っ?!


「え、借金…」


「優作の父親はその保証人になっていて、父親は裏切られたショックで精神的に追い詰められて、今は矯正施設にいる」


「そんな…」


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