イジワル男子の甘い声
知らない世界だった。
私が想像してたよりもずっと、大きかった。
「父親は病気で、借金は残ったまま。実際、法的な処置なんて途方も無い時間や労力がかかる。それからだよ。優作が歌を投稿し始めたのは」
「っ、、」
柏場がどうして特に女嫌いなのか、どうしてあんな風に別人のように装って歌を歌っているのか。
全部が繋がって、
ツーーッと私の頬に温かいものが流れた。
「前に、双葉ちゃん言ったよね。優作がsakuだってわかった時、優作に『ざまぁ』って言われたって」
「っ、は、い…」
「多分それは、双葉ちゃんやファンの子に対してかけた言葉じゃないと思うんだ。本心じゃないよ。そんなこと思ってるんなら、とっくに生配信なんて面倒くさいファンサービス、絶対にやらない」
「っ……」
上手く声が出ない。
ただ、頷くことしか。