イジワル男子の甘い声
バスに乗り込んで静かな時間ができても、隣のこいつの顔はまだ少し曇っている。
言いたいことがあれば言えばいいのに。
俺が何か変なことを言ったのだろうか。
昔ならどうでもよくて気にしなかったことを、相手が彼女となると、すごく考えてしまう。
さっきの会話の流れを何度も頭の中で再生してはおかしなところがなかったか、なんて。
どうせ毎回空回りして、冷たい態度をとってしまうくせに。頭の中と行動が矛盾だらけだ。
何が彼女を不安にさせたんだろうか。
わからない。
だけど…。
俺は、窓の方に目線を向けたまま、隣にある手を握る。
「…っ、へ、か、柏場く」
ほんと、反応がいちいち大げさ。
目線を横に流して彼女の表情に目を向けると、驚いた顔でこちらを見ていた。