イジワル男子の甘い声





────ガチャ



「ただいま…」


夕飯を食べ終えてからラップをしたお皿たちを目の前にジッと座っていると、


玄関が開く音と待ちわびていた声がして私は飛び上がるように玄関へ向かった。



「パパっ!お帰り!あのね!」


「あぁ、ごめん双葉。明日でいいか?」


パパに友達が家に遊びに来たいって言っているって話したかったけど…今日はダメみたいだ。


「え、あぁ、あの、ご飯、作ったよ?」


「悪い。明日食べるから」


靴を脱ぎながらすぐにネクタイを緩めるパパは今日もすごく疲れたと言いたげだ。


「え、でも、パパ夕飯まだ…」


「会社の人たちと食べてきたから」


パパはそう言って、私の横を通り過ぎた。


パパのスーツからは微かに、タバコの臭いがした。


やめてたのに…。


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