イジワル男子の甘い声


小学生の頃、ママが亡くなってから、パパは一生懸命働いて1人娘の私のことを育ててくれている。


ずっと2人きりだったけど、私をいつも私を第一に考えてくれていたパパは私との時間を大事にしてくれていた。


でも…。


『双葉!パパ、昇進が決まったよ!』


嬉しそうにそう言って会社から帰ってきたあの日から、パパはだんだん変わってしまった。


この家に引っ越せるようになったのだって、昇進のお陰でお給料がすごく上がったから。


でも…。


─────バタン


パパの部屋のドアをジッと見つめる。


正直、お金があまりなかったあの頃も私はちゃんと幸せだったよ。パパ。



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