イジワル男子の甘い声
アプリを開いて初めて、通知が数十件来ているのに気がついた。
多分、バグで通知がこなかったんだ…。
最近このアプリ調子悪いんだよなぁ。
「ごめん。今気づいた」
「も〜」
腰に手を当ててため息をついてるミカを前に、昨日のみんなのメッセージのやり取りを確認する。
なるほど…。
今日みんなの時間が合うから、私の新しい家に行けたらいいねってことらしい。
そうか…昨日はちょうど、携帯の充電がなくなって電源が切れたんだった。
「で?どうなの?今日」
前のめりでそう聞いて来るミカ。
そのタイミングでグループの他の子達も教室に入ってきて「なんの話〜?」と私の席に集まる。
今日かぁ。家に何にもないんだけどなぁ。
どうせならもっとちゃんとおもてなしがしたいと思っていたのに。
「何にもないけど…それでもいいならいいよ」
私がそういうと、みんなパァと顔を明るくした。
「双葉の新しいお家に行くぞー!」
「イェーイ!」
こうやって喜んでくれる人たちがいることで、私は1人じゃないんだって安心する。
この空間を大切にしなきゃ。