イジワル男子の甘い声


アプリを開いて初めて、通知が数十件来ているのに気がついた。


多分、バグで通知がこなかったんだ…。
最近このアプリ調子悪いんだよなぁ。


「ごめん。今気づいた」


「も〜」


腰に手を当ててため息をついてるミカを前に、昨日のみんなのメッセージのやり取りを確認する。


なるほど…。
今日みんなの時間が合うから、私の新しい家に行けたらいいねってことらしい。


そうか…昨日はちょうど、携帯の充電がなくなって電源が切れたんだった。


「で?どうなの?今日」


前のめりでそう聞いて来るミカ。


そのタイミングでグループの他の子達も教室に入ってきて「なんの話〜?」と私の席に集まる。


今日かぁ。家に何にもないんだけどなぁ。
どうせならもっとちゃんとおもてなしがしたいと思っていたのに。


「何にもないけど…それでもいいならいいよ」


私がそういうと、みんなパァと顔を明るくした。


「双葉の新しいお家に行くぞー!」


「イェーイ!」


こうやって喜んでくれる人たちがいることで、私は1人じゃないんだって安心する。


この空間を大切にしなきゃ。


< 58 / 374 >

この作品をシェア

pagetop