イジワル男子の甘い声






そして、あっという間にやってきた放課後。



「うわ〜本当に広いね〜」


「パパさんめっちゃ頑張ったじゃん」



うちのリビングを見たみんなが、お〜っと声を上げながら部屋全体を見渡す。


「広すぎて掃除大変なんだよ〜」


「でも双葉、前の家の時は『壁薄くて部屋狭くて嫌になっちゃう』って言ってたじゃん」


「あぁ、そんなことも言ってたのね…」


確かに前の家にみんなを呼んだ時にそんなことを言ったのを覚えている。


だけど、それは幸せの中から出てくるそれといいますか。あの時の不便さもちゃんと楽しかったといいますか。


「あ、そうだ!まだミカはアレ見たことなかったよね?」


私は「ちょっとまってて」と言ってから、自分の部屋へと急ぐ。


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