イジワル男子の甘い声


「…サク?」


「あ、えっと、その…私の好きな歌い手さんで…今回テストの成績悪いとパパに、彼のCDや集めてたグッズ、全部処分するって言われちゃってて…」


「へー」


歌い手なんて興味なさそうな柏場は、やっぱり知らないしどーでもいいって言いたげな顔で相槌を打った。


「柏場くんにはすごく関係ない話だし、迷惑だってわかっているんだけど…なんていうか…成績優秀な柏場くんとこのタイミングでお隣さんになれたのも何かの縁だと思いますし、昨日の柏場くんの丁寧な教え方にはやはり感心したと言いますか…だからっ」


「しゃべりすぎ」


柏場はそう言って私の声を遮って、はぁーと大きなため息をついて頭を抱えた。



「昨日は気まぐれで見てやっただけだ。俺が今後、お前に勉強教えたとして俺にあるメリットは?」


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