花と君といつまでも(完結)
「ねぇ紫苑ちゃん、水原くんたまにお店に来るんだけど これ以上隠し通すのは無理かも」

そう言えば婚約者さんとはどうなったんだろう


「あのハルヒさん、水原さんの結婚式いつですか?」

「...」


ハルヒさんが黙った。

「ハルヒさん?」


「9月3日」


9月3日...
それは紫苑畑で行われるお祭りの日

じゃあ水原さんは来れないね

「ハルヒさん、大丈夫ですよ私。そんな悲しい顔しないで笑ってください」


「無理よ!」

ハルヒさんが声を上げた

「なんで紫苑ちゃんそんなヘラヘラしてんの!?好きな人の婚約止めたくないの!?
好きって気持ちどうして伝えないの?
紫苑ちゃんの気持ちもわかるけど、言うべきだと思う。」

「ハルヒさん...」


私には婚約を止める権利なんてない
どこかの令嬢でも無いし、それにもう死ぬし

「ハルヒさん、水原さんは婚約の事私に教えてくれなかったんです。
愛していると散々私に言ってきたのに。婚約してる相手がいるなんて」

「...」

ごめんなさいハルヒさん

「婚約隠して私に告白してくるような最低男
なのに、なのに好きになっちゃった」

涙が止まらない
ハルヒさんは何も言わず聞いてくれている


「もう死ぬ私は水原さんを幸せにすることなんて出来ない
彼の人生を奪う権利なんてない
彼に思いを伝えてどうなるの?辛いだけだよ」


「紫苑ちゃん、もし9月3日彼に会ったら伝えな
私言ったよね また再開するかなんて誰にもわからない。けれど、運命の人とはまた再開する
すべて、最初から決まっているのよ」


「ハルヒさん...」


“面会時間の終了をお知らせします”


「あら、もうこんな時間なのね。考えてみて」


そう言って紫苑さんは帰った
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