不器用王子の甘い誘惑
車に乗るとエンジンをかけずに紗良の手を取った。
向かい合うようにして、瞳を見つめる。
「何度も言おうと思ったんだけど……。」
心臓が壊れそうなくらいに音を立てて、それでも言わなくてはと口を開いた。
「練習に付き合ってくれてありがとう。
俺の片思いの相手は目の前にいるよ。」
目を丸くした紗良は意味が理解できないという顔をしていた。
「えっと、まだ演技は続いてますか?」
フッと笑みをこぼして「そうじゃないんだ」と告げる。
そして、もう一度言葉を重ねた。
「好きだよ。紗良。」
みるみる赤くなる顔に本当のことだと伝わったみたいだ。
言葉にすれば簡単な2文字で、だけどその中にはたくさんの想いが詰まってる。
言葉じゃ足りないくらいに。
それをどうやって言えば伝わるのか分からないよ。
「俺にとって練習は練習じゃなくて、いつも紗良に向けた言葉だったんだよ。」
紗良に好きだって言えたらどんなに楽かって思っていた。
だけど今は胸が苦しくて紗良の答えを聞くのが怖い。
「あの……。まだ麗華さんのことも整理できてなくて………。」
「麗華はお互いに婚約者と呼ばれておけば、周りにとやかく言われないから否定しないだけで、本当に何もないんだ。」
一芝居打つほどに信じて欲しくて、付き合ってるって嘘までつかせて。
「だってあんなに綺麗な人……。」
芝居までしたのにやっぱりまだ信じてもらえないんだな。
「麗華とは似た者同士だからね。
いい奴だな。とか、綺麗な奴だよな。とは思うけど。」
「本当に麗華さんは亘さんが好きなんですか?
だって亘さんもかっこいいと思いましたけど……。」
「けど何?」
「……いえ。なんでもありません。」
「俺の方がかっこいいって?」
「自分で言わないでくださいよ。」
「自分で言わなきゃやってられないよ。」
拗ねた声を出すとプッと吹き出された。
「紗良が俺に練習台になりましょうか?とか、さっきみたいに麗華さんはいいんですか?って言われて、結構傷ついてたんだよ?」
「……ごめんなさい?」
「そうだよ。もっと反省して。
俺のこと好きになってくれたら許す。」
「な………。」
分かってるよ。分かってる。
向かい合うようにして、瞳を見つめる。
「何度も言おうと思ったんだけど……。」
心臓が壊れそうなくらいに音を立てて、それでも言わなくてはと口を開いた。
「練習に付き合ってくれてありがとう。
俺の片思いの相手は目の前にいるよ。」
目を丸くした紗良は意味が理解できないという顔をしていた。
「えっと、まだ演技は続いてますか?」
フッと笑みをこぼして「そうじゃないんだ」と告げる。
そして、もう一度言葉を重ねた。
「好きだよ。紗良。」
みるみる赤くなる顔に本当のことだと伝わったみたいだ。
言葉にすれば簡単な2文字で、だけどその中にはたくさんの想いが詰まってる。
言葉じゃ足りないくらいに。
それをどうやって言えば伝わるのか分からないよ。
「俺にとって練習は練習じゃなくて、いつも紗良に向けた言葉だったんだよ。」
紗良に好きだって言えたらどんなに楽かって思っていた。
だけど今は胸が苦しくて紗良の答えを聞くのが怖い。
「あの……。まだ麗華さんのことも整理できてなくて………。」
「麗華はお互いに婚約者と呼ばれておけば、周りにとやかく言われないから否定しないだけで、本当に何もないんだ。」
一芝居打つほどに信じて欲しくて、付き合ってるって嘘までつかせて。
「だってあんなに綺麗な人……。」
芝居までしたのにやっぱりまだ信じてもらえないんだな。
「麗華とは似た者同士だからね。
いい奴だな。とか、綺麗な奴だよな。とは思うけど。」
「本当に麗華さんは亘さんが好きなんですか?
だって亘さんもかっこいいと思いましたけど……。」
「けど何?」
「……いえ。なんでもありません。」
「俺の方がかっこいいって?」
「自分で言わないでくださいよ。」
「自分で言わなきゃやってられないよ。」
拗ねた声を出すとプッと吹き出された。
「紗良が俺に練習台になりましょうか?とか、さっきみたいに麗華さんはいいんですか?って言われて、結構傷ついてたんだよ?」
「……ごめんなさい?」
「そうだよ。もっと反省して。
俺のこと好きになってくれたら許す。」
「な………。」
分かってるよ。分かってる。