消極的に一直線。【完】
他の誰かのものになったら―――。



浮かんだのは、颯見くんの隣に並ぶ、鈴葉ちゃんの姿。



お腹の奥底に、禍々しい黒が侵食してくる。



“いやだ”



訴えるように、心が叫んだ。



“鈴葉ちゃんに渡したくない”



ハッキリと。
初めて心の中で言葉にした、それ。



直後にハッとして、その言葉を心の中から追い払っていく。



だけど、追い払うなんてことは不可能で、押し込めて閉じ込めるのが精一杯。



鈴葉ちゃんも、颯見くんにおんぶされたことあるのかな。



甘えてって言われたこと、あるのかな。



嫌だな。他の人にはしないで。

私だけ、が、いいな。






押し込めたはずの嫌な感情が、隙間からちょろちょろ流れ出てくる。



自分勝手すぎるワガママな思いが、こんなに私の中にあったんだ。



私って、こんなに醜い。



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