卑怯な私と幼馴染と彼氏。
私と友達。


 春。
桜が散ってしまって、どこか肌寒く感じる入学式。私はここで花の女子高校生というものになった。

小学校の時から一緒だった親友の佐奈(サナ)とは、別の高校に進学することになり、これから話せなくなるね。なんて、悲しいことを言ってくれたものだ。
(結局は、ちょくちょく遊んだり、ご飯を食べに行ったりするのだが)

とある公立高校に学力を落として、進学した私にとって、どんな子がいるのかも全然分からなかったし、学校見学にさえ行かなかったから、雰囲気も知らない。そんな緊張の中、意外と簡単に友人はできたのだった。

クラスは二列に並び、いすは設置してあった。
隣がまだいない席に座ると、少し緊張していた私はホッとした。いきなり仲良くなるのであれば、隣の席に座る子であろうし、話しかけるのは抵抗があった。

すると、そんな私を後ろから見ていたのか、一人の女子生徒が話しかけてくる。

「大丈夫?」

髪を後ろでひとくくりにして、癖がついたようにうねっている。解けば、肩より長いくらいだろうか。目は大きく、二重で、どこか大人びた雰囲気のある綺麗な子だった。私はあわてて、うなずくと、そっか体調悪いのかと思ってと返ってくる。綺麗なだけでなく、人の心配までできるのかと思った。

「あ、初めまして。アタシ、西波。西波 京。東西南北のにしに、さんずいに表皮とかの皮って書いて、さいなみ。きょうは京都の京だよ。あ、中学ではね、つよしって呼ばれてたんだ」

大人っぽい雰囲気なのに、とてもフレンドリーで。きちんと自己紹介までしてくれる。それが、この高校に来て、初めてできた友達。
西波 京だった。


その日の帰り。
私は、京ちゃんと一緒に途中まで帰る事になった。バスが出ているのだが、そのバス停が学校から少し遠いのと、私と京ちゃんでは使っている駅の路線が違うのだ。

「そういえば、京ちゃんはなんでつよしって呼ばれてるの?」

「あー、アタシってさ、さいなみきょう。じゃん。それで、いつのまにか、波を取られて、苗字と名前がくっついて、サイキョウ。そこからつよし。って呼ばれるようになってて」

照れくさそうに、頬をかく京ちゃん。

「てか、京ちゃんってむずがゆいから、つよしでいいよ」

「これから同じ学校とはいえ、抵抗あるよね」

いきなりあって友人になったとはいえ、女の子をつよし。と呼ぶのはいかがなものだろうか。

「いーのいーの」

どうしても笑顔のまま譲らず、これから仲良くなるでしょ?っと押し切られて、呼んでみてといわれる。私は渋った顔をして、一拍あけた。

「つ、つよし…ちゃん」

「ちゃんは要らないんだけどね。まあ、良しとしますか。これからの高感度次第ってことで」

高感度って。話してみると、つよしちゃんはなんだか、楽観的で変な子で会話は弾み、いろいろなことを知っていた。情報通なんだな。とこのときは思っていたが、これから先色々とお世話になったり、大変なことになるのであった。




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