卑怯な私と幼馴染と彼氏。

部活に入ることになった。
さまざまな部活を見て周り、軽音部にしようとオーディションを受けようと思ったのだが、どうもやっていく中で好きではないと感じた。私は、将来的に音楽関係の仕事に就きたいと思っていたので、吹奏楽部を見たり、ダンスをやっていたのでダンス部、軽音部。

その中で、そういえばこの学校は演劇部があったことを思い出す。新入生への発表は、何もしなかったが、気になったので見ていくことにした。

そして私は彼に出会うのだ。


演劇部は、基本的にはどこの学校とも同じように練習をしていた。体験では、台本の読みや発声の仕方。どういう公演をしたり、大会に出たり。
実績はなくても、部活の和気藹々とした雰囲気が好きだった。

そんな理由で入ったのだ。
演技することは好きで、一人でこっそり小説などの台詞を感情を入れて読んだり、中学では劇の発表で主役をもらったこともあった。

でも同学年は好きではなかった。

この数週間、授業を受けている中で、明らかに浮き足立って授業を妨害する者。それを止めることもしない先生。散々だった。

私とつよしは顔を合わせると、少し眉間にしわを寄せ合っていた。

だから、この部活でも同級生と関わるつもりは無かったし、上辺だけで構わないと思っていた。

だが、それを黙ってみている先輩たちではなかったのだ。

「絢ちゃん。同学年のみんなとは会話しないの?」

「ああ…、やっぱり会話くらいしたほうがいいですよね」

「そりゃ、これから三年間一緒に部活をしていく仲間なんだから、仲良くしておいでよ」

入ってみると、この部活の同級生はコミュニケーションをとるのが苦手なのか、同じクラスのもの同士がくっついて、喋っているだけのようであった。そこで先輩が、一年を集めると、絢ちゃん後は任せた。といい、去っていく。

途端に、私に集まる視線。なんてことしてくれたんだ。と思いながらも、精一杯の笑顔で相手を安心させるように、

「みんなで、自己紹介とかしようよ。名前と、クラスと、好きなもの、趣味、ほら、演者か裏方か…後は、きのこ派かたけのこ派か、目玉焼きには何をかけるか」

少し和むように、変な質問も取り入れると、それに反応して目玉焼き?!と驚く人たち。
よし、つかみは大丈夫。

「じゃ、言いだしっぺから行くよ」

と、自己紹介を始める。平均身長くらいの男の子、メガネをかけた文学系の女の子、背の高いひょろっとした女の子、少年ボイスの子や運動部みたいな男の子、そして…

「えっと、笹山 音です。女っぽい名前ってよく言われるけど、男です。裏方希望で、たけのこ派?目玉焼き…え、目玉焼き何かな…塩コショウとか?」

背が高く、髪は天然パーマ。足が長くて、裏方じゃなくて演者のほうがいいんじゃないかなと思った。

これが、私の彼に対する第一印象。
一目惚れなんてしない、私の卑怯な物語の始まりである。

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