星空を見上げて

東京6日目


東京6日目
心とは裏腹に空は晴れあがっていた
しかし一番の大仕事を昨夜こなしたので今日は気持ちも軽い
軽いとはいっても宿題(返事)はあるのだが

昨夜絵里さんに電話するとよく頑張ったねと褒められた
そして今後も連絡することを約束した、もうすっかり仲良しだ

今日はそれまで働いていたコーヒーショップへ
連絡もせず、ずっと休んでいたからもうクビになっているだろう
それでもお世話になったお店だ、会って話をしなければ

圭介さんは出掛けたあとなので1人朝食を済ませ出掛ける
すっかり乗り慣れてしまった電車でメモに書かれた住所へ向かった

・・・・・

目的のお店は昨日も来たS駅、ここから徒歩のようだ
きょろきょろしながら歩いていくとすぐにお店は見つかった

ドアを開けるとカランという音と共にコーヒーのいい香りが鼻をつく
店内はカウンター席とテーブル席が配置されている
観葉植物がいくつか置かれ、音楽がボリュームを落として流れており
居ごこちの良さを感じられた
オープンしたばかりなのか、お客は私の他には1人だけだった

カウンターの方を見ると
年配の男性がコーヒーサイフォンでコーヒーを淹れていた
男性は私の顔を見て目を見開いた「葵ちゃん!?」

「えっ?」

「葵ちゃん今までどうしてたの心配したんだよ?」

「あのアナタは」

「僕の顔、見忘れたとか言わないよね」

「すいません、忘れてしまいました」

「はっ?」

ポケっと私の顔を見る男性に苦笑いしつつコーヒーを注文した


< 47 / 183 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop