aventure
愛人生活
桜智が目覚めて時計を見るともう3時を過ぎていた。

少しだけ頭が痛い。

辺りを見回してホテルの部屋に居る事に気がついた。

ゆっくり起き上がるとソファーに座ったまま眠る鴻の姿があった。

桜智は鴻を揺すって起こした。

「風邪ひきますよ。」

鴻はその声にゆっくりと顔を上げて
桜智の顔を見て少しだけ驚いた。

今までの事を思い出し、
桜智を勝手に連れてきた言い訳をしなければと思った。

「あ、起きたんですね?

こんな所に連れ込んだみたいで悪いと思ったけど…
家も分からないし、君は眠ってしまったしね。

どうしますか?今から帰るなら送って行きますが…。」

その時はまだ娘と年の変わらない女の子をどうこうするつもりは無かった。

桜智が帰りたいと言えば送って行ってあげようと思っていた。

しかし桜智は鴻を目の前にして
怖がる様子も嫌がってる様子もなかった。

「帰る所も無いから泊まっても良いですか?」

そう言われた時、鴻は桜智が多分自分に少なからず好感を持ってると確信した。

「良いですよ。

僕もここに居ても?」

桜智は断る事無く頷いた。

「ベッド使ってください。

私はソファーで寝ます。」

その時、鴻が桜智の手首を掴んだ。

このまま押せば何とかなるような気がした。

「半分ずつ使いませんか?

君が嫌じゃなければ。」

「嫌じゃなければ?」

桜智は男の下心を見抜いた様な目で見る。

鴻は桜智を見つめてその頰を撫でると
桜智は瞳を閉じた。

まだ若く美しいその肉体に触れてみたくなる。

鴻の手が桜智の首筋に触れ
桜智を引き寄せるとそのままキスをした。

桜智はただ鴻に身を任せた。

鴻は桜智の緊張を解くために手を止めて
話を始めた。

「今日20歳になったばかりなのに
フローズンダイキリをどうして知ってたの?」

「え?」

「君はもしかして不良少女だった?」

「いえ、でも一度だけ知らないで飲んだことがあったんです。」

桜智のとってフローズンダイキリは父との思い出だ。

だからヘミングウェイの好んだフローズンダイキリが別名パパダイキリと呼ばれていたと聞いて
父を思い出したのだ。

「まだ高校生になったばかりの頃、
父の知り合いのお店で父と二人で入学祝いの食事をしたんです。

その時、父が頼んだお酒があのフローズンダイキリで
シャーベットみたいなあの飲み物がテーブルに運ばれて来た時、父はちょうどトイレに行ってたんです。

私はそのデザートみたいな飲み物が父の頼んだお酒とは思えなくて知らずに一口飲んでしまったんです。」

「お父さん、ビックリしただろうね。」

「いえ、父には黙ってました。

すごくいけない事をしてしまった気がして…

少量だったから幸い父にはバレなかったんです。

でもその時の大人の味が美味しくはなかったけど…
少し甘くて…すごくお洒落に思えて…
なんとなく忘れられなくて…

その時から最初に飲むアルコールはフローズンダイキリにしようって決めてたんです。」

「なるほど。」

鴻は桜智の服を脱がしながらその話を微笑みながら聞いていたが
内心、これから2人に起きる事に胸が高鳴っていた。

「今日飲んでみてどうだった?」

「まだよくわからないけど…
何となく大人になった感じがして…」

その時鴻の唇が桜智の頰に触れた。







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