Re:ヴェーク 《起》
龍我はしばらく、テレビを焦点の合わない目で見続けていた。

疲れきった筈の頭をフル回転させる。
この速報にはいくつかおかしい所があった。

まずは、
「政府からの発表」
というところ。
たかだか1人の教授の記者会見に政府が関与するだろうか。

次に、記者会見の時間だ。
朝の8時半頃は、普通なら仕事や学校などの始まる時間だ。
また、自営業の人や深夜帯に仕事のある人なんかはまだ寝てる可能性だっておおいにありうる。
物理的に観れない人の方が多いだろう。

最後に、この速報自体について。
まず、日本に住んでいる人口のうち一体どのくらいの人数がこの速報を観たのだろうか。
これだけでは、この速報の存在を知らないまま朝を迎える人が沢山出るだろう。
それに、
「身の安全」
と言われても、どんな危険があるのかは一切公表されていない。
当然、危険の度合いによって
意地でも記者会見を観るのか、観ずに過ごすのかが変わってくる。
どうしても見せたければそこをハッキリさせればいい。
それとも、あえて言わないのは大した危険がないからなのか。

あれこれと考えている内に腑に落ちる答えを見つけられぬまま翌朝を迎えた。
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