コガレル ~恋する遺伝子~
就業開始時間が迫って、席に着いた。
と同時に、斜め向こうの離れたデスクの電話が鳴った。
杉崎課長に内線電話だ。
課長は二言三言返事をしてから受話器を置くと、「葉山、ちょっと」と私に向かって手招きをした。
課長の前に立つと
「人事部の課長のとこに行って」そう言われた。
なんだろう?
首を傾げると、目の前の課長も同じように首を傾げた。
どうやら電話では呼び出しの内容までは告げられなかったみたい。
「行ってきます」
お互いに苦笑いして、私は一つ階上の人事部へ向かった。