コガレル ~恋する遺伝子~


 真田圭は恐らく、いや、恐ろしく嫉妬深い。
 弥生さんと言葉を交わす度に、痛い程の視線が突き刺さる。
 クロマキーバックをセッティングしてる今だってそうだ。
 スゲー仕事しにくい。

 しかも撮影が始まると真田圭の独擅場だった。
 レンズの向こうに自分がどう映るのか、完璧に把握してる。
 俺は真田圭の望み通りに、ただシャッターを切るだけだった。
 笑顔は拒否された。
 一流の被写体に、三流のカメラマン。
 同じ男として、悔しくて仕方なかった。

 ただ、それ以上に久々にカメラが楽しく思えた。
 これまでは与えられたものを、ただひたすら写すだけの労働作業だった。
 真田圭に至っては、そうじゃなかった。

 参ったな…
 俺の燻りに火を付けるのが、まさかの真田圭だとか。

< 338 / 343 >

この作品をシェア

pagetop