コガレル ~恋する遺伝子~



 食事が終わると、出かける支度をして声をかけた。
 テーブルを拭いてた葉山さんは振り返ると、手の中のクロスをモジモジと揉みだした。

「一人で大丈夫です」

 出てきた言葉がそれだった。
 今といい、さっきのラインを見た反応といい、俺と出かけるのが嫌なのかと思い当たった。

 なんかイラッとしてきた。
 ここに住むことさえ、親父と考え直したいとか言い出す始末…

 …俺のせいかよ。
 そんなに嫌がられんなら放っておきゃいいと思う反面、なんか意地にもなってた。
 行くのか、行かないのか、睨みを効かせて聞いてやった。

「い、行きます?」
「行きますぅ?」

 なんで答えが疑問形なんだよ!
 ビクッとした後、明らかに観念した表情で車で帰ることに決めたようだ。

 俺がガレージに歩き出すと、黙って後ろを付いてきた。
 助手席に座るように言うと、大人しく乗り込んだ。


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