極上スイートオフィス 御曹司の独占愛

ぴくん、と彼女の指が反応する。
様子を窺えば、彼女は少し困ったように眉尻を下げていた。


「あの、朝比奈さん」

「うん?」

「ほんとに伊崎とは」


最後まで言わせずに、彼女の手首を掴んで避けると、唇をキスで塞ぐ。
んん、と彼女の抵抗の声も飲み込んで、舌で口内を一巡した。


「わかってるよ。疑ってない」

「じゃあなんで」

「わかってても面白くない」


言ったはずだよ。
僕は、君が思うほど大人じゃない。


彼女の手を捕らえたそのまま組み敷いて、再び唇を重ねて抵抗を削ぐ。
けれど、彼女は最後の悪あがきに再び僕から顔を背けた。


「もう! お腹空きましたってば」

「そう言われてもまだレストランも開いてない早朝だよ。ルームサービスでも取る?」


すると、彼女はまさにゾッと、顔を青ざめさせた。


「やです! それって食べたらまた、ってことでしょ?」


ご名答だ。
申し訳ないが、三年分の愛情をこの一日に詰め込まなければ、僕の方もおさまりそうにないのだから仕方ない。


「ダメ、それに今日はデートって約束だったのに」

「覚えてるよ、もちろん」

「ほんとに? デート、してくれる?」


眉を寄せて尖らせ気味の唇と、真っ赤な頬がきゅっと僕の心の奥を掴んだ。
無自覚に翻弄する彼女は、僕には時折小悪魔に見えてくる。


「もちろん、真帆の望むところに。だからもう一度、キスさせて」


ほっと緩んだ、はにかんだ笑顔に胸が締め付けられるような想いがして、額や頬を撫でつける。


柔らかく、無抵抗に重なる唇に、その肌に
僕は飽きもせず口づけ続けた。

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