極上スイートオフィス 御曹司の独占愛

「明日、手伝いにいこっか?」

「大丈夫よ、平日夜の洋菓子売場なんて閑散としたもんだし。それに明日、朝比奈さん帰って来るんでしょ?」


朝比奈さんは昨日、月曜から大阪出張に出ている。
西日本の中枢である関西地区は、盛り返したとはいえまだまだ油断できる状況ではないようで、時折朝比奈さんが出張と言う形で様子を見に行くことになっているそうだ。


つまり、あれだ。
『僕がいなくてもちゃんと出来てるよね?』


と定期的に釘を刺しに行くようなものだ。


出張に向かう直前、大阪支社との電話のやり取りを耳にした。
休み中だったため、直接朝比奈さんの携帯にかかってきたのだ。


「結果の出てない仕事に、何か意味がある?」


そう言い放った表情も声も冷ややかで、通話相手はさぞかし震えあがったのじゃないだろうか。


なるほど、これが『鬼の朝比奈』の一面か、とぞっとした。
けど、これで彼は西日本を立て直してきたのだなと思ったら、なんだかとても労いたくなって、通話が終わると同時に彼の背中に抱き着いた。

< 198 / 237 >

この作品をシェア

pagetop