極上スイートオフィス 御曹司の独占愛

きっと今も冷気を漂わせてるんだろうな。
それとも、もう仕事は終わって宿泊先に戻ってる頃だろうか。


本当はとても優しい人なのに。


そう思うと、朝比奈さんが大阪支社で恐れられていることがなんだかとても、悔しくなってしまう。


「真帆にでっれでれの朝比奈さん見てみたいから今度ダブルデートしない?」

「え? カナちゃん彼氏出来たの?」

「いないわよ。くそー! 彼氏欲しいけど洋菓子の店長なんかやってたら一生できない気がする!」


グラスを片手に、カナちゃんがテーブルに突っ伏した。
カタカタッ、と数本入った串入れが揺れる。


「この業界、特に店舗に居たら男の人少ないもんねえ。かといって普通のお仕事してる人とは休みが合わなくてすれ違いだし」

「そうなのよ。だからやっぱ同じ業界の人に目が行くじゃない。でさ、実は隣のメーカーの本社営業がさ、ごっついイケメンでさ」

「あ、知ってる。間宮さんだ。でもあの人既婚だよ」

「まじで……」

「うん、たまに挨拶する。子供と奥さんの写メ待ち受けにしてた」

「どいつもこいつも充実しやがって……」


間宮さんが既婚なのは私のせいではないのに。
恨みがましい目で睨まれ、肩を竦めてカルピスチューハイを口に含んだ。


あまりたくさん飲み過ぎてはいけない。
多分、あとで朝比奈さんから電話があるから。
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