いじっぱりなオトコマエ女子と腹黒なイケメン御曹司の攻防
今の涼介はまるでお伽話のような学園中の憧れの対象じゃない。現実の、実物大の存在なんだ。
その事実が押し寄せて来て、私はそれ以上動けなくなった。


「どうしたの?」

立ち尽くしたままの私に気付いた涼介が怪訝そうな顔で近寄って来た。

「うん、なんか大人になったんだなーって」

「俺が?そりゃまあ、あれから十年近く経つからね。成長してないのも問題でしょ」

「ーー八年だよ」

涼介に恋しそうになって会わなくなったあの日から八年。高校生の自分がどれだけ子供だったか、今も悔やむ事がある。

「そうだな、八年だ。湊、制服だったし」

涼介もあの日の事を思い出したのか、遠い目をしてからクスッと思い出し笑いを漏らした。

「で、ファーストキスだった」

「はぁ!?何言って‥‥‥」

いきなり過ぎる指摘に赤面するのが止められない。恥ずかしさを誤魔化すように、軽く涼介の肩を押す。

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