いじっぱりなオトコマエ女子と腹黒なイケメン御曹司の攻防
「違うよ、湊。俺がって事」

「え?」

意外過ぎる言葉に、一瞬理解が遅れた。

だってそんな訳ない。涼介は凄くモテて、いつだって女の子に囲まれてて。

「ホントだよ」

いつのまにか大きな手に包まれた私の手が、ゆっくりと涼介の唇に押し当てられる。

「だから、軽い気持ちでも勢いでもなかった」

至近距離から見られてその瞳に囚われそうになるのを無理やり引き剥がし、体ごと一歩下がった。

「そんなの私には関係ないから‥‥‥」

涼介の唇に触れた手をもう片方で隠すように覆うけれど、さっき感じた熱が一向に引かない。まだジンジンと脈打っている。

「そ、それより。どこか移動しない?」

このままでは完全に涼介のペースだ。状況を立て直したくて、わざとツンとキツイ言い方で問う。
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