いじっぱりなオトコマエ女子と腹黒なイケメン御曹司の攻防
「そう?でも完全にここに越してくるならもっと物も増えるし、今後を考えたら最上階に移動しないとね」

私が同意しなかった事が不思議らしく、キョトンと首を傾げる仕草は可愛らしいけれど、言ってる内容は全然可愛くない。

「最上階って、この部屋以外にも部屋を持ってるの!?」

ここだって余裕の億ションなのは確実だ。最上階でもっと広い部屋を所有してるなんて、どれほどのお金持ちなのか想像もつかない。こんなに住む世界の違う人ならある程度の距離を取らなければいけないと思った高校生の私の判断は間違ってなかった、と自分を密かに褒めたくなる。

「この部屋以外にもっていうか、持ってるのはこの建物ごとだけどね」

驚き続ける私をクスクスと笑いながら、いつの間にか入れてくれたコーヒーを持って、涼介がリビングに戻ってくる。
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