春になったら君に会いたい

出会った日のこと、冬くんは覚えてるかな?
あのときは、思い切りぶつかっちゃってごめんね……。

私の落としたタオルを拾って、わざわざ届けてくれて、しかもなぜか一緒にお話することになって。あの日のことは私絶対忘れないだろうな。久々に楽しいと思えた日だったもん。

その後も、私のところに何回も来てくれて、一緒にいろんな話ができて、すごく楽しかったし嬉しかった。デートも楽しかったね。それに、私のことを好きだって言ってくれたのも嬉しかった。あの日の夜はまったく寝られなかったくらい。



私ね、冬くんには希望であふれた世界で生きてほしい。
望んだことすべてはむりかもしれないけど、きっと叶える力を持ってると思うから。

無責任に聞こえちゃうかな。でも、本当にそう信じてるの。こういうことをしたい、こういうふうになりたい。それを諦めてしまわないでほしい。

冬くんの辛さ、全部じゃないけど私にも分かる。だからこそ、私は冬くんに希望を託したい。私にはできなかったことも、冬くんならきっとできる。

……なんて、私わがままだね、ごめんね。
私が言ったからとか、私のためにとか、そんなことは全然考えなくていい。ただ、冬くんの望むように生きて。それが私の望み。

そして、遠い未来で再会したら、たくさん土産話を聞かせてほしいな。
それまで桜でも見ながらのんびり待ってるね。



まだまだ伝えたいことは尽きないんだけど、時間にも紙にも限りがあるから仕方ない。だから、最後にこれだけ伝えるね。


大好きだよ、冬くん。


小咲のぞみより


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