春になったら君に会いたい


ガラガラ、と自分の病室のドアを開けると、中には正晴がいた。俺は呆れて、正晴の頭を小突く。

「お前は一体何してんだよ」

「冬おかえりー。のぞみちゃんとは話せた?」

ケラケラと笑いながら聞いてくる。俺はイラつきを隠そうともせず、答えた。

「話せましたけど何か?」

それを聞くと、正晴は更に笑う。
本当に何なんだかわからない。


「いやぁ、そっかそっか。良かったね、冬」

目元を擦りながら言われた。さしずめ笑いすぎて涙が出てきたというところだろう。



「……で」

俺がもう一度小突いてやろうかと思ったところで、正晴は仕切り直すようにそう言った。今までとは違う、低い声に少し緊張してしまう。


「何か嫌なことでもあったの?」


さすがに鋭い。俺の少しの変化に気づいているのだろう。
それは気づいてほしい時でも、そうでない時でも同じだ。

そして、今は後者である。



「いや、別に……言われたくないこと言われただけ」

誤魔化そうとしたが、正晴の圧には勝てず、正直に答えてしまった。


「ふーん」

正晴が両腕両脚を組み、冷たい感じでそう言った。
なんだか、少し機嫌が悪いように見える。
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