春になったら君に会いたい


後日、俺は正晴に電話をかけた。

誘われてからの数日間、インターネットで色々と調べてみたが、どうにもこうにもぱっとしなかった。そのため正晴に意見を聞こうと思ったのだ。



「もしもしー、冬が電話かけてくるなんて珍しいね」

二回のコール音の後に、聞きなれた声がスマホを通して聞こえた。


「ちょっと緊急事態なんだよ」

「えー、なになに? のぞみちゃんに振られた?」

「ばっ、振られるもなにもねーよ。まだ恋愛感情とか……」

「はいはい。で、何?」


いつも通りムカつくが、促されたので答える。こういう案件は、正晴の方が圧倒的に得意だ。


「今度、二人で出掛けることになって」

「のぞみちゃんと?」

「そう。で、エスコートしてって頼まれたんだけど、どうしたらいいと思う?」

んー、と悩むような声が聞こえてきた。真剣には聞いてくれているようだ。


「冬的にはどういうデートがしたいの?」

「わかんない。女子と二人とか初めてだし」

「だよねぇ。ピュアだもんね」

「うっせ」

向こうで笑っているのが感じ取れる。正直、ウザい。が、デート成功のためだ。我慢しよう。


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