春になったら君に会いたい



「のぞみに好きって言いそうになったんだよ。なんつーか話の流れで? まあ、思いとどまったんだけど」

「へーえ、やっと自覚したんだ?」

「いや、まだわかんねぇ。好きとか、咄嗟に出そうになっただけで」

そう、わからない。だから、悩んでいるのだ。


「俺は、冬が思ってもないことを言えるような人だとは思えないけど?」

「どういう意味だ?」

「心のどこかでは、冬はのぞみちゃんを好きだと思ってるんじゃないかってこと。普通、全く思ってもないのに、好きとか言っちゃいそうなんてなる?」

的を射た正晴の言葉は、俺に重くのしかかってきた。俺は何も言えなくなってしまう。

もう本当はわかっていたのかもしれない。好きになってしまうのが怖くて、逃げていたのだと。



そんなことを思った直後、急にあることを思い出した。あまりの衝撃に頭がガンガンと痛む。


「冬、大丈夫? 苦しそうだけど」

つい歪んだ表情に気づいてか、正晴がそう聞いてくる。俺はなんとか頷いて、飲みかけのココアを啜った。


「俺さ」

そして、甘くなった口を開く。聞いている正晴は真剣な顔をしていた。

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