HEROに花束を(完)
ざわざわざわ。
嫌な予感がして、わたしは呼吸を整えようと深呼吸をした。
「どう…して?」
これを聞いたら、もう引き戻せないような気がした。
恐ろしく過保護な悠の母親。
たまに悠が見せる悲しそうな表情。
『来年の春、また桜が咲いたら、俺、またこの桃色の花をみたい。』
あの日、悠が桜のベールに包まれて言った言葉。
『穂花、一緒に見てくれる?来年も、再来年も、ずっと、見てくれる?』
その時の悠の切なそうな顔を今でも忘れられない。
悠の笑顔が涙に変わって行くようで、怖くて怖くてたまらなくなる。
ーわたしは今から、何を聞かされるの?
想像もつかない悠の過去。
サッカーを辞めた理由。
美菜ちゃんと別れた理由。
ーわたしはまだ何も知らない