鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)
数分前の騒ぎを思い出して、ため息をつきそうになった。
気分を変えようと、給湯室でコーヒーを淹れてフロアに戻った。
「菜緒ちゃん、おはよう」
ちょうど佐野さんが出勤してきた。
「佐野さん、おはようございます。コーヒー淹れたんでどうぞ。冴木主任もどうぞ」
佐野さんのデスクにコップを置いて、冴木主任にコップを持っていこうとしたところで、横からヒョイッと奪われた。
見上げると、孝太郎さんがコップを持って立っている。
社内で名前呼びはマズイ。
瞬時に切り替えた。
「課長、おはようございます」
「冴木は飲まない」
「はい?」
課長は颯爽とデスクに歩いていく。
その姿をぼーっと眺めていると、なぜか佐野さんと冴木主任はお腹を抱えて笑い始めた。
佐野さんと冴木主任を交互に見て、課長に視線を戻す。
優雅にコーヒーを飲みながら、こちらを見ている。
課長が口パクでなにか言っているのに気づいた。